東京・お出かけスポット 劇団文化座 忘れかけたライブ感覚を思い出しに
Netflix、Amazonプライム、U-NEXTなどの動画配信サービスのお陰で、過去に放送された演劇、ミュージカル、音楽などは自宅でいつでも視聴できるようになりましたよね。
コロナ禍もあって、自宅に引きこもる癖がついてしまった方は、それなりに楽しみ、満足していたりして?
さてさて、皆さん。
もうそろそろ「ライブ」しませんか?
一度でも、生で演劇やミュージカル、音楽ライブを観にいった方々は、あの心の内側から湧き上がってくる感動を覚えているはずです。
一体感というか、会場がひとつになる感じ。あれは、動画配信サービスじゃ絶対に無理。味わえません。
今回、ご紹介させていただく「劇団文化座の演劇」は、コロナ禍で私たちが忘れかけそうになってしまったあのライブ感動を思い出すスイッチになるような場所です。
編集部は、劇団文化座で代表代行を務めていらっしゃいます中山様に多くの質問をし、回答をいただきました。
是非、最後までご覧になってください。
劇団文化座について

劇団文化座の創設はいつ?歴史について教えてください。

当劇団は、戦時下の1942(昭和17)年2月、演出家佐佐木隆、女優鈴木光枝をはじめとする9人のメンバーによって結成され、1945年には日本の現代演劇を紹介する目的で旧満州(中国東北部)に渡り、そこで敗戦を迎えています。
これは当劇団の歴史であり、創立メンバー亡き後も劇団の創造の柱に、その痛み、憤り、反省が受け継がれています。
また、この苦難の経験から一貫して働く人たちの応援歌とも言える、常に社会的な弱者の気持ちに寄り添い、生活者の「視点」を持って作品を創造してきました。
1982年には水上勉作・木村光一演出『越後つついし親不知』で新生面を切り開き、文化庁芸術祭大賞、ならびに佐々木愛が紀伊國屋演劇賞を受賞しており、1987年より今日に至るまで、隆と光枝の一人娘である佐々木愛が劇団代表を務めております。
創立期には、日本の現代演劇史に大きな足跡を残す劇作家三好十郎との深い結びつきによって三好作品を連続上演し、戦時下の厳しい条件の下で演劇の良心の灯をともし続けました。
以来、三好十郎作『その人を知らず』『炎の人―ゴッホ小伝―』『おりき』、山代巴原作『荷車の歌』、長塚節原作『土』、山崎朋子原作『サンダカン八番娼館』など、底辺に生きる人々に光を当てた作品の上演を続けています。

80周年ですか。おめでとうございます!
数ある劇団の草分け的な存在なのでしょう。
そんなタイミングで取材ができた縁に感謝いたします。
そして、近年ではその創造の方向性も多岐に渡り、新しい挑戦も初めています。
浅田次郎のベストセラーを舞台化した『天国までの百マイル』、劇団の有る北区田端にゆかりのある作家、芥川龍之介の作品から作られた『田端文士村シリーズ・三つの宝』。
2008年には『てけれっつのぱ』で平成20年度文化庁芸術祭大賞を受賞。
2013年には、映画化もされた金城一紀原作『GO』を舞台化。
その頃まだ新人だった藤原章寛が主演を務め、文化庁芸術祭新人賞を受賞。
2018年三好十郎作『夢たち』、宮本研作『反応工程』、原田マハ原作『太陽の棘』、この三作品の舞台成果に対して、第53回紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞しました。
どの作品も、当劇団は一線で活躍をする外部の演出家に積極的にアプローチし、2019年『アニマの海~石牟礼道子「苦海浄土より』では、栗山民也氏に演出を依頼。観客の皆様より大絶賛をいただきました。
2020年2月、文化座が55年ぶりに再演を決めた三好十郎原作の『炎の人』(演出:鵜山仁)が、当時まだよくわからなかったコロナウィルス感染症の蔓延で、施設的に何か起きてしまうと問題として上演している最中に、劇場側から突然の中止を求められました。
私達制作も動揺しましたが、俳優たちは劇団始まって以来、途中で舞台を降りなければならない悔しい経験を致しました。
その後も感染者が増え続け、緊急事態宣言も発令。
予定していたアトリエ公演や、沖縄公演を延期し、そこから約半年間すべての活動を自粛することになりました。

その後も感染者の増減が繰り返される中で、客席を半分にソーシャルディスタンスを保ちながら感染対策を万全に、2020年8月金城一紀原作「フライ,ダディ,フライ」(東京芸術劇場)、2021年1月音楽劇「ハンナのかばん」(東京芸術劇場)、2021年4月竹山道雄原作「ビルマの竪琴」(俳優座劇場)、10月リリアン・ヘルマン作「子供の時間」(芸術劇場シアターウエスト)と、コロナ禍の下、感染症予防に努め意欲的に作品を創り続けることで、文化芸術の灯を守り続けています。

伝統を引き継ぎ、新しいことへの挑戦も続けてる最中のコロナですか。
それでも、諦めることなく模索し、前に進むもうとする意思がお話から感じ取れます。

劇団文化座は東京のみですか?地方公演は行っていますか?

主催公演は東京がほとんどです。
2017年に初演した「命どぅ宝」は、多くの方からの再演希望を受け、コロナ禍で延期にはなったものの、2022年の6月に沖縄返還50年と、文化座創立80年を記念して、沖縄県の那覇(琉球新報ホール)と、名護(名護市民会館)で、公演することができました。

地方公演は、日本全国で数多く公演させていただいていますが、こちらは全国演鑑連主催による公演になります。

「命どぅ宝」は、沖縄の方言で「命こそ宝」という意味だそうです。
5年後にちゃんと沖縄で実現できたなんて感動的なお話です。

劇団文化座の魅力について教えてください。

創立80年になる文化座は、新劇団体の中で唯一外地で敗戦を迎えた劇団です。
創立メンバーの創造活動の思いは、現在の代表に受け継がれ、「地から沸く演劇」をモットーにここまで活動を続けてきました。
現在では21歳から79歳までの俳優が所属しており、色々なジャンルの作品に挑戦しています。

しかし、決してパフォーマンスとしての作品にはせず、演じる俳優や、観てくださるお客様の人生や、生き方に目を向ける作品作りをしております。
劇団文化座の注目俳優、おすすめの公演

注目の俳優について教えてください。

劇団文化座の注目俳優は多数いますが、トップは代表の佐々木愛です。

創立者である佐佐木隆と、当時看板女優だった鈴木光枝との間に生まれた一人娘で、1987より、文化座の代表を務めています。
現在、その孫である原田琴音(21歳)も劇団員として活躍中であり、

2013年に文化庁芸術祭新人賞を受賞した藤原章寛も、数々の作品に主演俳優として活躍しています。


ありがとうございます!
皆さん、この3人の俳優さんの顔と名前は確実に覚えておきましょう。

おすすめの公演があれば教えてください。

10月に東京芸術劇場のシアターウエストで、ルイザ・メイ・オルコット作『若草物語』を上演いたします。若手俳優演じる4姉妹の物語に期待が高まります。



そして、12月には代表の佐々木愛が、舞台生活60年を記念して六本木トリコロールシアターにて、三浦綾子原作『母』を上演いたします。

今後予定している公演についてお聞かせください。

2022年10月14日(金)~10月23日(日)
東京芸術劇場シアターウエスト『若草物語』
2022年12月8日(木)~12月17日(土)
六本木トリコロールシアター『母』

原田琴音さんは、若草物語に次女役で出演しているようです。
どちらも、10日しかありません。お見逃しなく。
安全対策について


新型コロナ感染症対策の取り組みについてお聞かせ願います。

感染症対策では、俳優は劇団に到着したら、靴の消毒、手洗い、うがい、検温、着替え、不織布マスクの着用を義務付けています。
常勤者も毎日検温、手洗い、うがい、不織布マスク着用です。
稽古に入る前に、全員で清掃、稽古場の消毒を行います。


稽古中は、定期的な換気と、消毒、飲食禁止、私語禁止など、ガイドラインを作り徹底して取り組んでいます。

劇団員の方々の日々の努力がとても伝わってきます。
稽古以外の多岐に渡る見えない努力があってこそですね。
私たち観客ができる公演中のマナーは、その日の公演が良いものになるための必須事項です。
一緒に作りあげる意識を持ち、大いに楽しみましょう。
劇団文化座の事前情報、知っておきたいマナー・エチケット

事前に知っておくと得するチケット情報やおすすめ情報はございますか?

ホームページや、Facebook、最近始めたYouTubeチャンネルや、文化座公式アプリなどで情報を発信しています。
後援会に入られていなくても、アプリ会員限定チケットやUシート(前方端席)など、割引きのあるチケットも購入できます。
高校生以下割引き、夜公演のみで30歳以下の割引きもあります。

嬉しい情報です。SNS関連は、チェックしておくとお得な最新情報が手に入りそう。
FacebookとYouTubeの情報は、当ページ下部「記事の監修」欄に記載しております。
なるほど割引き情報もいろいろありますね。
文化座公式アプリは、App Store、Google Playから無料でダウンロードできますので、おすすめです。

絶対にしてはいけないことがありましたら教えてください。

俳優への誹謗中傷はしないでいただきたいです。
作品に対してのご意見は、公演の際にアンケート用紙をお配りしておりますので、そちらに書いていただくか、劇団文化座のメールか、事務所へご連絡いただきたいと思っております。
文化座後援会について

文化座後援会に入会した際の特典について教えてください。

文化座の後援会には、サポーターズと、友の会があります。
サポーターズは、年会費20,000円で文化座の主催公演はご招待(無料)になります。
その他に、ご同伴者様の割引きや、公演パンフレットの贈呈、機関紙や後援会ニュースの送付をさせていただきます。現在はコロナ禍でなかなか難しい状況ですが、サポーターズ様特別企画を開催し、バスツアーや忘年会などに参加していただけます。
友の会は、年会費2,500円で、主催公演のチケットが最大30%割引きになります。
その他、公演パンフレットの贈呈、機関紙や後援会ニュースを送付いたします。

バスツアーや忘年会だなんて……。
俳優さんたちをそんなに近くに感じれるなんてファンにはたまらんって。
定額で公演無料だし、結構お得ですよね。

さて、劇団文化座いかがでしたか?
ここ数年は、劇団員にとっても多くの後援会の方々にとっても、私たちの想像をはるかに上回る信じられないような時間だったに違いありません。
演者が演じられないという壮絶な体験を乗り越えた先には、どんなことが起こっているのでしょう。
ライブの良さを改めて体験しに、忘れかけてしまったあの歓喜と高鳴る興奮を手に入れに、そろそろ思いっきり拍手しにいきませんか?
なんだか懐かしくて当たり前の拍手が嬉しくて、観客も演者も感極まりそうです。
中山様、ありがとうございました!
記事の監修:
劇団文化座
中山博実(なかやまひろみ)
代表代行
制作部34年勤務
「想像力と知性、愛と信頼、夢と希望」持って演劇に臨みたい。
画像提供:劇団文化座
スポット詳細情報
住所 | 東京都北区田端3-22-12 |
最寄駅 | JR山手線・京浜東北線田端駅より徒歩12分 JR山手線・東京メトロ南北線駒込駅より徒歩12分 |
駐車場 | なし |
公式サイト | www.bunkaza.com |