東京・お出かけスポット 豊島区立 熊谷守一美術館 都会に潜む癒やしの空間
今回ご紹介するお出かけスポットは、
「豊島区立 熊谷守一美術館」です。
編集部である私は、昔デッサンを習っていました。
今回取材するにあたり、よく講師が言っていた「テクニックじゃなくて、いいデッサンを描きなさい。」という言葉を思い出しました。
当時、上手にデッサン描きたいと思っていた私には、全く理解できませんでした。
もし、その時の講師に「豊島区にある熊谷守一美術館に訪れてみなさい」と言われていたら、その意味を理解し、もっといいデッサンが描けていたのではないかなと思いました。
そう、熊谷守一美術館は、そんないい絵が観れる場所。
この度、熊谷守一美術館の菊地様にその魅力について伺ってまいりましたので、是非ご覧くださいませ。
熊谷守一美術館について

熊谷守一美術館はどのような場所ですか?

豊島区立 熊谷守一美術館は、洋画家・熊谷守一(1880-1977)が亡くなるまで45年間暮らした家(アトリエと庭)のあった場所に、1985年、二女・熊谷榧が開館しました。(2007年公立化)年間を通して常に熊谷守一作品約60点をご覧いただけます。

熊谷守一美術館の魅力について教えてください。

小規模ながらも、30代に描かれた初期の作品から油絵の絶筆まで、熊谷守一の画風の変化をご覧いただけます。
墨絵や書、オイルパステルといった油彩画以外の作品もご覧になれます。
都内でまとまった数の守一作品を、年間を通じ常設でいつでもご覧いただける施設は、おそらく当館だけだと思いますので熊谷守一ファンの方にはぜひお越しいただければ嬉しいです。
また、熊谷守一の次女で、晩年まで当館の館長も務めた熊谷榧(1929~2022)が書いた作品解説も魅力の一つで、作品が当館にやってくるまでの裏話や、家族ならではのエピソードを交えた解説になっており、観覧者の方からもご好評いただいています。
その他、美術館を設計した方のこだわりで、美術館併設のCafeスペースが地面より一段低く設計されているのですが、椅子に座ると、ほぼ地面と同じ目線になります。
熊谷守一は自分の庭で寝転がり、様々な生き物の観察をしていたそうで、半地下のCafeスペースからはその守一の目線で庭を眺めることが出来るという趣向が凝らされています。
残念ながら、当時の守一の庭は、美術館建設時に土地の広さの事情で残すことはかないませんでした。ですが現在も守一が作品のモチーフとして描いた蝶や猫がよく遊びにやってきます。
タンポポやヒガンバナなども季節ごとに顔を出すので、椅子に座ってゆっくり景色を楽しむのも良いのではないでしょうか。

平日は落ち着いていますので、展示室で絵を鑑賞したり、各フロアにある椅子で休息したりしながら、ゆっくりとした時間をお過ごしいただけますよ。

おすすめ情報をいただきましたよ。
ここでしか観賞できない作品を娘さんの解説で堪能。
半地下のCafeスペースで景色を楽しむ。
熊谷守一美術館での必須行動です!

熊谷守一美術館にはどういった作品が収蔵されていますか?

熊谷守一の油彩画、墨絵、書、クロッキー、オイルパステルといった平面作品のほか、陶磁器やブロンズなどの立体作品を所蔵しています。
個人のご所蔵者様からの寄託を含めますと、約190点の作品を収蔵しております。
熊谷守一美術館の人気の作品、おすすめの作品

人気の作品、おすすめの作品はございますか?

観覧者の方から人気なのは、1959年に描かれた「白猫」という作品です。

あまりに主人に忠実な犬よりも、自由気ままな猫を好んだという熊谷守一は、多くの猫を描いた作品を残しました。
守一の次女・榧さんの解説によると、描かれた白猫は家で飼っていた何代目かの猫だそうです。
1985年の開館当初からこの美術館の看板猫を勤めてくれています。

線が柔らかくて、背景の色からでしょうか。温かみがあります。
顔なんて1本で描かれていますからね。なのに、ちゃんとその表情が見えてきます。
あと、なんででしょう。陰影がないのに立体感があるから不思議です。
個人的なおすすめの作品は、1970年「夕暮れ」という作品でしょうか。

守一が90歳の時の作品です。この絵は最晩年に描かれたもののひとつで、守一は自身の自画像だと言っていたそうです。
同心円で太陽と日輪を描いた作品は他に「朝のはぢまり」に「夕映」(共に岐阜県美術館所蔵)などがあります。
真っ黒に塗りつぶされた背景をよく見ると、「夕暮れ」とタイトルが描き込まれているのがわかります。

自画像ですか……。難しいな。でも、おもしろいなーって思います。
美術のトップの学校を卒業していらっしゃいますので、デッサン力がずば抜けておられます。
そんな方が突き詰めて辿り着いた形なのでしょうか。
私にはまだまだ。

事前予約が必要な施設はございますでしょうか?

事前予約は必要ございません。
安全対策について

新型コロナ感染症対策の取り組みについてお聞かせ願います。

お客様に安心してご利用いただけるよう、館内の消毒作業を毎日行っています。
また、お客様にはご来館の際にマスクの着用、入館時の手指消毒をお願いしております。
熊谷守一美術館の事前情報、知っておきたいマナー・エチケット


事前に知っておくと得する情報、豆知識はございますか?

特にありません。
施設面での注意点でいうならば、当館は建物が古く、エレベーターがない為、2階、3階までは階段のご利用のみとなってしまいます。
何卒ご了承ください。

絶対にしてはいけないことがありましたら教えてください。

作品には触れないでください。
作品展示室内での飲食は出来ません。
熊谷守一作品(原画)の写真撮影はご遠慮ください。
メモを取る際は鉛筆をご利用ください。
といった美術館での一般的な鑑賞マナーの他は特にございません。
ご興味・ご関心に応じてお気軽にお楽しみください。

とても大切な美術館での鑑賞マナーです。
必ずお守りくださいませ。

ミュージアムショップの情報、人気商品について教えて下さい。

当館オリジナルグッズの他、熊谷守一関連書籍や熊谷守一グッズを販売しております。
当館オリジナルグッズの一筆箋やポチ袋など人気があります。



わー、ステキ!人気あるのわかるー!
どちらも、めっちゃかわいいですもの。

いかがでしたか?熊谷守一美術館。
色味、構図、直線や曲線が美しく脱力感があって人間性が見えてくるような作品ばかり。
とっても心地良い気持ちになれる場所がアクセスのよい都会にあるのです。
是非、熊谷守一ファンの方はもちろん、お仕事などでちょっとお疲れの気味の恋人がいるならデートコースとして連れて行ってあげてみては?
きっと癒やされ、喜ばれると思いますよ。
また、芸大・美大を目指す学生さんにもおすすめします。
菊地様、ありがとうございました。
記事の監修:
豊島区立 熊谷守一美術館
菊地桜子
学芸補佐
守一は身近にあるものや生きものをよく観察し、自分の感覚や経験にとても真摯に向き合ってきた作家です。
枯木や蠅といった、一見印象の悪いモチーフでも、守一の作品の中では生き生きとしています。
生活の中での視点の変化を味わってみたい方には発見も多く、きっと楽しめます。
作品に描かれた猫や鳥はとても愛らしいので、美術鑑賞に苦手意識がある方でも、素直に鑑賞いただけると思います。
画像提供:豊島区立 熊谷守一美術館
スポット詳細情報
住所 | 東京都豊島区千早2-27-6 |
最寄駅 | 有楽町線・副都心線 要町駅出口1・2 徒歩9分 有楽町線・副都心線 千川駅出口3 徒歩9分 |
駐車場 | 1台(お身体の不自由な方が優先となります) ※満車の場合は近隣のコインパーキングをご利用下さい。 |
営業時間 | 10:30~17:30(入館は17:00まで) |
公式サイト | kumagai-morikazu.jp |